メイクセラピーとは、メイクによって生活を豊かにすることを目的とした療法のことで、介護現場では認知症の予防や改善、ADLやQOLの維持、改善に役立てられています。メイクセラピーには女性だけでなく男性向けのメニューもあります。メイクやファッションは人それぞれ好みが異なるものなので、メイクセラピストは患者との密なコミュニケーションによって相手の好みやイメージしている自分像を巧みに引き出していく必要があります。
メイクセラピーは、高齢者のQOLを向上させるのに役立つ療法です。期待できる効果としては、メイクによって気分が上がる心理的効果や人との関わりを楽しめるようになるなどの社会的効果、手指のリハビリ効果、唾液の増加による口腔機能アップ、脳への刺激による認知症予防・改善などさまざまなものがあります。高齢者にとっては、メイクの一連の動作を行うだけでもリハビリ効果があり、五感へ適度な刺激を与える効果もあります!
メイクセラピーは、知識として知っているのと実際に導入した現場を知っているのとでは大きくイメージが異なる可能性があります。メイクセラピーを導入した施設のスタッフに聞くと、メイクセラピーをきっかけに明るく元気になっていった高齢者の様子を知ることができます。施設利用者の心の状態が安定して、職場の雰囲気が改善されたという効果もあったようです。メイクセラピーの様子を写真や動画などで見ておくのも勉強になります。
メイクセラピストとして介護現場で働くにあたって、美容系の介護ケアを幅広く知っておきましょう。介護ケアとしてのネイルケアは、爪を飾るための細かいパーツを使わず高齢者を疲れさせないよう行うのが基本です。ヘアケアは介護施設でもともと行われていることですが、美容を意識したヘアケアはまだこれから広がっていく分野です。好みの香りや効果から精油を選べるアロマケアでは、香りによって心身の状態を整える効果が期待できます。