メイクセラピストによる心のケアで認知症にも効果が

認知症ケアの効果も

身だしなみを整えることは認知症ケアにもつながる

身だしなみを整えたいと思うのは、人間が持つ基本的な欲求ですよね。メイクやヘアスタイルが崩れると、ちょっと手直ししたいと思うのではないでしょうか。認知症を患っている人の場合、症状の悪化と共に自分で身だしなみを整えることが難しくなっていきます。それでも、身だしなみを整えれば気分がよくなることには変わりありません。認知症だからわからないと、身だしなみのことを後回しにするなら、BPSD(行動・心理状態)の悪化につながってしまう可能性があるので注意が必要です。介護現場で働くメイクセラピストは、身だしなみを整えることと心の関係についてしっかりと理解しておくことが本当に大切なのです。

身だしなみを整えることは認知症ケアにもつながる

身だしなみに着目した看護実践の結果

ヴァージニア・ヘンダーソンという看護研究者は、身だしなみを整えないとBPSDが悪化してしまう要因のひとつになると指摘しています。身だしなみはその人の生き方の現れであり、身だしなみを整えることで基本的欲求を満たすことができるという考え方です。この点に着目して行われた看護実践結果はとても興味深いものですね。
長谷川式スケール20点以下の患者18人を対象に約2ヶ月間行われた看護実践では、くしと手鏡、男性には電動の髭剃りが用意されました。そして、食事の前と10時・15時のお茶の前、リハビリの前に身だしなみのサポートを行って、患者自身に手鏡で確認してもらうようにしました。その結果、なんと13人の患者がすべての項目において点数を減らすことに成功したんです。身だしなみを整えたいという意欲も上がって、促されなくても自ら身だしなみを整える行動を取れるようになりました。点数こそ増えませんでしたが、その他の患者さんもBPSDになんらかのよい影響を与えているとの感触が得られました。看護実践後点数に一切の変化が見られなかった患者に共通する特徴として、長谷川式スケールの点数がもともと低かったというものがありました。入院したときにはすでにBPSDがひどく悪化していて、コミュニケーションがかなり困難だったようです。

身だしなみに着目した看護実践の結果

BPSDが現れる要因

BPSDの質問項目は、「家庭内を徘徊して困る」「食事やトイレの異常行動」「幻覚や妄想がある」「攻撃的で暴言を吐く」「昼夜逆転して困る」「興奮して大声でわめく」「やる気がなく何もしない」「落ち込んで雰囲気が悪い」「暴力をふるう」「いつもイライラしている」というものです。BPSDが現れる要因にはさまざまなものがあるのですが、その中には身だしなみなどのケア不足も含まれていると考えられているんです。身だしなみを整えることで自分に興味を持ってもらえれば、それが刺激になって自立した行動につながります。こうして考えてみると、毎日ほとんど無意識に行っているようなことが、心の安定にすごく役立つのだということがわかりますね!

BPSDが現れる要因

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